皆さんこんにちは!とある水族館で飼育員をしているかつ兄です。
前回の餌編に続き今回は住処編をお話をしていきます。
→→前回の餌編はこちら←←
魚がどんな場所に住み着いたり集まったりするのか皆さんのヒントになればと思います。
住処に関しては少々長くなるので3編に分けますね。
どうぞよろしくお願いします。
魚が居心地のいい場所を探る
まずは魚にとって居心地がよく、集まりやすい場所がどういった場所なのか、水槽を観察し、水槽を作ってきた経験からお話します。
前回の餌編で「搬入されてきたばかりの魚達」について軽く触れましたが、読んでいただけましたでしょうか?
そして今回も「魚の気持ちになって考える」に基づき話を進めます。
ところで、皆さんの居心地のいい場所ってどこですか?
ベッドの中、リビングのソファー、お風呂の中など個々色々あると思います。
魚のアクビ可愛いですよね…
魚にも、もちろん居心地のいい場所はあります。
僕達飼育員は、それを考えて魚達がリラックスでき、尚且つ皆さんが観察しやすい水槽を作っていかなければなりません。
そして、みなさんが水族館にいらっしゃった時「なんでここに魚が固まってるんだろう?」と思ったことはありませんか?
実はそこ、何らかの理由で魚の居心地が良かったりする場所になっています。
魚によって好みは色々あるのですが代表的な場所が以下の四つです。
1「流れに変化」がある場所
2「地形に変化」がある場所
3「影になっている」場所
4「水温が他より高い」場所
他にも色々あるのですが、上から順に説明していきます。今回は長くなるのでまず1と2についてお話しますね。
「流れに変化」がある場所
まず「流れに変化がある」場所ですが、水がある所は大体の場所に流れがあります。
流れがある=新鮮な水 と考えて頂いても過言ではありません。
要するに酸素があり、綺麗な水が絶え間なくある場所に魚はいます。皆さんも換気が全くされていない場所にはあまりいきたくないですよね?
水槽内において、水が止まっている状態を「死に水」といい、これができる水槽は良い状態であると言えません。
ただ、あまりにも流れが強いと、ずっと泳がなくてはいけないので、適度な流れがあり、水が完全に止まっていない場所を探さなくてはなりません。
逆に激流の中は、人間で例えるなら酸素マスクをつけてランニングマシンの上を走らされている様なものです。
ずっと居たら休まりませんね…
僕はそんな所には、行きたいとは思いません笑
ただし、マグロなどの回遊魚は完全アスリートなのでこの限りではありませんが。
水中の酸素に関してちょっと横道に逸れます。
水草や海藻が多い場所なんかは、光合成で酸素が豊富になりますが、ご家庭で飼育されている水槽で稀に起こる事故があります。
それは「水草が密生した夜間の水槽」です。
何故かというと、小学生の理科の時間に勉強したと思いますが、草は太陽光がある場合は光合成を行い酸素を出しますが、夜間はほぼ呼吸のみになる為、二酸化炭素ばかり放出します。
拙い絵でごめんなさい笑
そのため沢山水草がある水槽内は酸欠になり、朝起きたらお魚がお亡くなりになっていた…という事件を何度か聞いた事があります。
実は水草と魚を水槽の中で安定させて飼うのって意外と難しいんです…
以上の事から自然界でも、夜間は流れが少なく水草が密生する場所は低酸素な場所になり、魚が酸素が多い場所へ移動する事が多いため、そのような場所には魚が少ないように感じます。
また、流れがあっても上流で農薬などが撒かれていたり、工事などで土砂が流れて濁っている状態などはこの限りではありません。
「地形に変化」がある場所
次に地形に変化がある場所ですが、釣りをしていると「かけあがり(ブレイク)」などの用語は聞いたことがあるかと思います。
「かけあがり」とは簡単に言ったら、陸から緩やかに落ち込んだ斜面や急に深くなった崖のような場所が水中にあり、そこは魚の通り道になっている事が多いです。
何故かと言うと魚は壁に沿って泳ぐ習性があり、定置網はこの習性を利用した漁法になります。
参照:https://www.hokumo.net/fishery/possible/about.html
そのため広い水の中、近くに身を寄せる場所がない場合は、かけあがりを狙っていくと釣果に繋がることが多い傾向にあります。
特にフィッシュイーターのシーバスやタイ、青物などこの「かけあがり」周りにいる事が多いです。
理由は絵を見ていただきたいのですが、身を寄せる場所という理由の他、かけあがりに水流があたった後に流れが緩んだ場所はプランクトンが溜まりやすく、それに集まる小魚を狙って魚が集まる場合もあります。
以上の事から僕が釣りに行く際、何も見当たらないサーフやオフショア、大きな湖などはかけあがりを探す事から始めていきます。
またストラクチャー(水中障害物)がある場所も狙い目ですが、それは次回のマガジンでお話させていただきます。
おわりに
いかがでしたでしょうか、
前回に引き続き少し水族館の水槽の見方が少し変わってきたのではないでしょうか?
飼われ慣れた魚は、少し自然とは違う動きにはなりますが根本の習性は変わらないので釣りのヒントにはなるのではないかと思います。
ぜひぜひ日本全国の水族館に来てくださいね!
どこかの水族館で皆さんにお会い出来ることを楽しみにしています笑
次回のマガジンは「影になっている場所」、「水温が他より高い場所」に関して第2編でお話していきます。
とある水族館で飼育員をしているかつ兄です。
釣りは4歳から始め魚好きが高じて飼育員になりました。
休みやちょっとした時間があればだいたい水辺にいる典型的な釣りバカです。
基本ルアーがメインでジギング、キャスティング、エギングをよくやります。