小雨の降る中、本日の儀式へ。
慣れた手付きで先祖代々引き継がれた「サオ」と呼ばれる棒の先に、「えぎ」と呼ばれる謎の生物を象った祭具を糸で結びつけたのち海へ放り込み、狂ったように振るう───手繰っては放り、放っては振るい、振るっては手繰り───
無心で儀式を繰り返し、世の安寧と五穀豊穣を祈願する───
今日も沈黙の海には静寂だけが広がっている───
すると儀式の最中、近くにいた老人に問われる。
「ミズイカね?」
───ミズ…イカ…??
見たことも聞いたこともない言葉に困惑した。
色んな考察が脳裏をよぎるが、やはり言葉の意味が分からない。一先ず老人に何か返答をしなくては、と儀式の手を止めると
「ツレテルみたいだよ、あっちこっちスミがあるでしょうが」
───何を言っているのか分からない、ツレ、テル?ここら辺の方言だろうか…スミ…?何の話だ…?
「そっちに投げるとネガカリするから、みんなあっちに投げるよ、あっちに投げやん」
───ネガカリ…。何の事か分からないが、先達があっちに投げろと言うなら従うのが若輩者。
精一杯の微笑みを返し、老人に礼を言う。
その後、儀式を行いながら老人の言葉の意味を自分なりに考察する───
そして、あくまで仮定だがある程度辻褄の合う答えに辿り着いた。
ここ周辺には他にも私のような祈祷師がおり、彼らが行う儀式を「ミズイカ」と呼ぶ。
また、その祈祷師たちが儀式を行った場所を「ツレテル」と呼び、その印として墨を撒く風習がある。
そんなところだろうか───。
「ネガカリ」についてはよく分からなかった。
おっと、こんなことを考えている場合ではない。
先代から引き継いだ儀式を私の代で完成させなくては。
次の儀式に取り掛かる。
「コザカナ」を模した祭具───「ジグ」に付け替え、放っては手繰り、放っては手繰り───
最近、こちらの儀式に関してはそれなりに手応えを感じている。
今日は不完全体ながらなんと2体の生物を召喚することに成功したのだ。
ただし、大事な祭具である「ジグ」をひとつ、海に飲まれてしまった───儀式に夢中になるあまり、老人の言われた方角と違う方向に放ったところ、何か強い力で固定された感覚であった。試行錯誤したが、しまいには糸が切れてしまった次第である…
とはいえ、この調子で実りある儀式を完成へと近付けたいものだ───
釣果データ
- 釣れた日
- 2022年01月24日 15:05
- 魚種
- サイズ
- 重さ
- 匹数
- 2匹
- 都道府県
- エリア
- 鹿児島湾北部
タックル
- ロッド
- リール
- ライン
状況
- 天気
- 10.0℃ 東 1.7m/s 1013hPa
- 潮位
- 154.0cm
- 潮名
- 小潮
- 月齢
- 21.4
- 水温
- 水深
- タナ(レンジ)
この日の釣行
- 日時
- 2022年01月24日 15:05〜15:05
- 15:05 釣行開始
- 鹿児島湾北部で釣り開始
- 15:05 釣行終了