セイゴ(ヒラスズキ)
セイゴ(ヒラスズキ)

人生13度目の釣り。

前回は、2度の坊主を経てのフグ一匹。
そして今回は、すでに1度の坊主を経験している。つまりフグをノーカンにすると、実質4回連続坊主という計算になる。

初心者にとって、この真冬の4連続坊主はなかなかの破壊力だ。毎回朝4時に起き、まだ暗い中を車で走り、凍えるような寒さの海に立つ。投げて、巻いて、待って、投げて、巻いて、また待つ。結果、何も起きない。

釣れない理由を探すために釣具屋へ行き、
「これなら釣れるかも」という淡い期待とともにルアーを買い足す。そして、そのルアーでも釣れない。

残るのは、減ったお小遣いと、静かに削られていくメンタル。お小遣い制で生きている、しがないサラリーマンにとって、これはなかなかに痛い出費だ。それでも、釣れなければ釣れないほど、なぜか「次こそは」と思ってしまう。きっとそれが、釣りという趣味の一番厄介で、そして一番魅力的なところなのだと思う。

そんな中、気付けば今年も終わりが近づいてきた。どうしても、1匹釣ってから年を越したい。その一心で、4連続坊主の因縁の地、相模湾河口へ向かった。

到着したのは5時前。
常夜灯の周りには、すでに数人の先行者がいた。この寒さの中、他にも同じような物好きがいる。それだけで、少しだけ心が暖かくなる。冬のせいか、仲間意識なのかは分からない。

まずはいつも通り、表層をプラグで探る。
しかし反応はない。
「今日もダメかな……」
そんな諦めの気配が漂い始めた頃、海面で魚がピチャピチャと跳ね始めた。

一気にテンションが上がる。
これは行けるかもしれない。
跳ねている海面を中心に、プラグやワームをしつこく通す。魚がワームを追う姿が、はっきりと見える。「これは釣れる。間違いない」そう確信し、根気よく投げ続ける。

……が、釣れない。
何度投げても、何度通しても、釣れない。
時間だけが静かに過ぎていく。
周りのアングラーも、いつの間にか黙々と竿を振っている。
誰も喋らない海辺で、自分のキャスト音とリール音だけが、やけに大きく聞こえた。

これが噂に聞く「スレている」というやつなのだろうか。そう思い、カラーを変えることにした。そこで取り出したのが、いざという時のために取っておいたエコギアアクアの活アジストレート。

ほぼ餌。
禁断のルアー。
これに手を出したら、もう後戻りできない気がして、今まで使わずにいた切り札だ。カラーはオレンジゴールド。

「これで釣れなかったら、寒いし帰ろう」
そう思った、まさにその瞬間。

グググッ、ググググッ。

竿先に、はっきりとした重み。
一瞬、根掛かりかと思ったが、次の瞬間、ぐいっと生命感のある引きが伝わってくる。リールを巻く手が、少しだけ震える。

姿を現したのはセイゴ。
サイズは決して大きくないが、今の自分にとっては、十分すぎる一匹だ。思わず深く息を吐き、しばらく魚を眺めたまま動けなくなった。

「これで年を越せるな……」

そんな安堵が、体の奥からじんわりと広がった。

まだ時間はある。
せっかくなら、今まで避けてきた釣り方にも挑戦してみよう。そう思い、ダート釣法を試してみる。竿をチョンチョンと動かしながら誘うらしい。

正直、よく分からない。
動かし方も合っているのか怪しい。
「本当にこれで釣れるのか?」
半信半疑のまま、ボトムを中心に探っていると、

グググググッ、ググッ。

先ほどとは少し違う、重たい引き。
慎重に寄せてくると、上がってきたのはソゲ。ヒラメの小さいやつらしいが、どう見てもヒラメはヒラメだ。

サイズなんて関係ない。
この一匹で、今日の釣りは完全に報われた。
思わず口元が緩み、誰も見ていないのに小さくガッツポーズをしていた。

これで、家族にちゃんとした釣果を報告できる。スマホで魚の写真を撮りながら、「今日はいい日だな」と、素直に思えた。

今日は9時から用事があるため、ここで納竿。帰り道「今年、もう一回くらい行けるかな」なんて考えている時点で、自分がもう完全に釣りに取り憑かれていることに気づく。

帰宅すると嫁がいたので、
「魚釣れたぞ」と報告すると、

「すごいじゃん。私、生きてる魚触れないから、ソゲ捌くのお願いね」

と言い残し、仕事へ出かけていった。

……また俺が捌くのか。
前回、結構大変だった記憶がよみがえる。
次は嫁にやってもらおうと密かに思っていたのだが、まあ仕方ない。自分が釣った魚だ。

慣れない手つきで魚を捌き、なんとか形になった刺身を皿に並べる。完璧とは言えない出来だが、自分で釣って、自分で捌いた魚には、不思議と愛着が湧く。

その後、家族が美味しそうに魚を食べている姿を見る。
「美味しいね」と言われるたびに、早起きも寒さも、坊主の日々も、全部少しずつ報われていく気がした。

釣れなくて、寒くて、財布にも優しくない。
それでも、やっぱり楽しい。
そして、きっとまた行く。

これが「メガネ、また坊主。」の釣り人生。
そう簡単には終わらない、
人生13度目の釣りだった。

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釣果データ

釣れた日
2025年12月23日 06:40
魚種
シーバス > ヒラスズキ > セイゴ(ヒラスズキ)
サイズ
重さ
匹数
1匹
都道府県
神奈川県
エリア
相模川河口
マップの中心は釣果のポイントを示すものではありません。

ルアー

タックル

ロッド
リール
ライン

状況

天気
 6.0℃ 北北東 5.0m/s 1031hPa 
水位
前日雨量
0.0mm
放水量
水温
水深
タナ(レンジ)

この日の釣行

日時
2025年12月23日 06:40〜06:40
06:40 釣行開始
相模川河口で釣り開始
06:40 釣行終了

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