シーバス
シーバス

春の終わりが近づいた夜、久しぶりの手応えがあった。

去年の十一月、最後の一匹を釣り上げてからというもの、僕とシーバスとの間にはどこか距離ができてしまったように感じていた。冬の間もフィールドに通いはしたけれど、何かが噛み合わず、すれ違いばかり。ラインを結び直しながら、何度も自分に問いかけていた。あの手のひらに残る振動、心臓が跳ね上がるようなあの一瞬に、また出会える日は来るのだろうかと。

やがて季節がめぐり、春の風が川辺に吹きはじめると、稚鮎の遡上が始まった。毎日チェックする遡上調査の結果に胸を高鳴らせ、僕はまたいつもの場所へと足を運ぶ。けれども、魚との距離はなかなか縮まらなかった。

そして迎えた、今日。朝から降っていた雨が、夕方には止むという予報。湿った空気のなか、仕事がまったく手につかない。日常のルーティンを済ませ、夜9時頃、自転車を走らせた。雨上がりの湿った空気のにおいがとても気持ち良い。

いつもの場所に着くと、先行者の姿はない。雨上がりの川はほどよく濁りが入り、流れにも勢いがある。これは、いける。直感がそう告げた。

暗がりのなか、キャストを繰り返し、少しずつ魚との間合いを詰めてゆく。場所を少し下流に移動し、対岸の岸際へややダウンクロスにキャスト。ミノーのリップに流れを纏わせて下流に流し込み、リーリングを止めて竿先の入る感覚に集中する。ミノーは張らず緩めずのラインテンションを維持したまま流心に侵入。
ミノーが流心を外れ、ラインテンションが緩んだ瞬間、ゴンッ!とロッドが絞り込まれた。

ヒット!

一瞬、先日のバラしが脳裏をよぎる。あのときの後悔を繰り返したくない。身体ごと後ろへ引きながらしっかりフッキングを決めた。エラ洗いを繰り返す相手に、こちらも全神経を集中させる。バラしたくない。絶対に獲る。

慎重に、けれど確実に、魚を寄せる。やがて水面に浮かび上がる銀色の魚体。その姿を見た瞬間、胸が熱くなる。最後の抵抗をかわし、ランディング成功。

「やった…!」

グリップで握った瞬間、魚の躍動が、僕の手を震わせた。嬉しさと、なによりも「戻ってきた」感覚が、胸の奥から溢れ出す。写真を撮り、しばらくその余韻に浸る。魚を水に戻すと、しばらくしてシーバスは力強く尾を振り、闇の中へと帰っていった。

ありがとう。久しぶりに再会できた友よ。

僕とシーバスの距離は、確かにまた一歩、近づいた。

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釣果データ

釣れた日
2025年04月23日 22:21
魚種
シーバス
サイズ
54.0cm
重さ
匹数
1匹
都道府県
神奈川県
エリア
ガス橋
マップの中心は釣果のポイントを示すものではありません。
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シーバス × 神奈川県

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状況

天気
 18.0℃ 北北東 2.2m/s 1003hPa 
水位
前日雨量
0.0mm
放水量
水温
水深
タナ(レンジ)

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