イナダ
イナダ

初めて手にした。やっと仕留めたイナダ。
後ろにはあの野球場。

【糸の先】
手繰る糸の先にいるのが、魚なのか自分なのか、私にはわからない。あるいは、逃げた魚はその針に釣り人を引っ掛けて置き去りにするのかもしれない。

その時は突然来る。自分の心臓に、自分以外の生き物の鼓動が響く。その鼓動に自分の心臓も高鳴るが、あれ本当に生き物の心臓の音かなと心配になり、ちょっと耳をそばだてる。やっぱり生きている。糸を手繰る。恍惚と緊張。見えているのは竿先と白い空。鼓動が響く。ずしりと重い鼓動。まだか。もう少しか。まだ浮かない。きっとイナダだ。シーバスはすぐに浮くと聞いた。まだいる。聞こえる。タモか。抜き上げるか。

そうしているうちに、糸が水面に垂直になっていることに気づく。そしてすぐにそれは自分の方に向き始めた。足下に走られた。どうするか。その疑問符の一瞬を相手は逃さなかった。とん、と軽くなる糸。ピンクのルアーだけが水面に浮かぶ。聞こえる波の音。と思うと、目の前に鏡が現れて、瞬きも許されず自分を見せられる。たださようならをしてくれれば良いのに、魚はわざわざ釣り人自身というお土産を置いて泳ぎ去る。

その鏡を見て何を思うかは日によって違う。その日私は、自分は瞬間を試されるものが好きなんだとか、いつか来るだろうその魚を釣り上げた時の嬉しさを思ったり、様々な魚を追ってこの嬉しさを一生感じられる人生は楽しくてしょうがないなんてことを思ったが、これらは半分本当で、半分言い訳である。希望と絶望のスムージーといったところである。百回近く鉛を投げ、しゃくった手首の痛みと波の音が悔しさを倍増させる。そしてその鏡は次の鼓動が響くまで消えないのが常である。手首の痛みを抑えながらまた投げ続けるが、ただその日はその泣きつくような祈りも虚しく、次の鼓動は響かなかった。

海に比べたら埃の毛一本にも満たない糸を、釣り人は一日百回二百回と投げて、魚もしくは自分に会う。それを息絶えるまで繰り返す。これを思うと、「釣りバカ」という言葉があるが、バカと言われても何も言い訳できない。 

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釣果データ

釣れた日
2019年10月26日 07:25
魚種
ブリ > ブリ > イナダ
サイズ
重さ
匹数
1匹
都道府県
千葉県
エリア
検見川浜突堤
マップの中心は釣果のポイントを示すものではありません。

ルアー

タックル

ロッド
リール
ライン

状況

天気
 20.0℃ 北北東 0.8m/s 1009hPa 
潮位
95.0cm
潮名
中潮
月齢
27.4
水温
水深
タナ(レンジ)

この日の釣行

日時
2019年10月26日 07:25〜07:25
07:25 釣行開始
検見川浜突堤で釣り開始
07:25 釣行終了

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