シーバス
シーバス
シーバス

シーバス 40cm

 私は人生で2匹目のシーバスを釣り、かなりの上機嫌であった。
 リリース後、場荒れしたと思ったが、もう釣れなくてもいいと思いつつ、またVJを投げた。
 数投するも反応が無い。最後にバイブレーションを試そうか。そう思いルアーボックスを開けると、とあるルアーが目に止まった。過去に河川で謎の大物をかけるもバラしてしまったブレードジグだ。その後はカマスしか釣れていない。先日もここで投げたが釣れなかった。だが、私はかなり信用しているルアーだ。ブレードもベイトサイズに合っている。そう思い、モアザンリアルスピンを手に取った。
 1投目、無意識に明暗部の際の奥へとキャスト。そしていつもの様に明部を通し、最後に岸壁の暗部の前スレスレを通していく。もはや浮かれて何も考えていなかった。ただ刷り込まれた習性の様にコースをなぞり、巻いているだけだ。すると強烈なヒット。ふと我に返った。
 バイブレーション同様、ブレードジグもフックがかなり小さく、それによりバラしが多い。十分にテンションをかけやりとりをする。ヒットした位置からほぼ間違いなくシーバスだ。ドラグは魚の重さに合っておらず、全く機能していない。完全にロッド性能だけに頼ったやりとりになっている。
 そうこうしている間に、見事なまでのエラ洗いが炸裂した。全身を空気中に出し、跳ね上がった。間違いなくシーバスだ。なんと美しい姿か。このエラ洗いこそ、私が見たかった姿その物だ。その後もエラ洗いを幾度となく連発。もたついているとバラしてしまう。いなして落ち着いかせ、慎重にランディングを試みる。だがまたしてもエラ洗い。暗部に入りよく見えないが、無我夢中でなんとかランディングに成功。
 ランディングネットが大きく曲がるほど重い。にも関わらず、なぜドラグが効かなかったのだ。ミノーやジグをジャークするのに丁度良い設定にしていたが、今後は見直す必要がありそうだ。だが、結果的に釣れたのは、ドラグが強かったからなのか、それとも、魚に合った設定ならもっと安定したやりとりが出来ていたのか、今となっては分からない。
 サイズは丁度40cm。過去最高記録だ。先ほどの個体と同様、豊富なベイトを捕食していたことから体格が良い。まさかこんなにも早く、自己記録を塗り替えることになるとは思ってもいなかった。当然、このサイズはシーバスにしては小さい。だが、私にとってはとてつもない大物だ。
 獲物を丸呑みにする大きな口、鋭角の鰭、そしてこの魚を形作るシルエット。そのすべてが格好良い。やはり私はシーバスが好きだ。
 サイズもいい。締めて持ち帰ろうかと思った。だが、あることに気が付いた。
 こいつ、先日、私の8トラップを背にしながら、まるで私を嘲笑うかの様に、ベイトを食っていたあのシーバスだ。サイズからして間違いない。
 あの時はよくも私をコケにしてくれたな。だが、それも今では、私のルアーに騙されて、まんまと地上に引きずり上げられた訳だ。いい気味だ、このまま食ってやろう。そう思ったが、魚に挑発された仕返しとなれば、私が小さい人間になる様な気がしてならない。そこで、今回だけは見逃してやることにした。
 ランディングネットでしっかりと蘇生をし、無事に海へと帰っていった。あれだけ私を挑発したにも関わらず、見逃してやったのだ。今後は、常夜灯の暗部に隠れ、楽して餌を獲るのではなく、大海原へ出て、必死に餌を探し、強く、逞しく生きるのだ。でなければまた、私はお前を釣りに行く。そして今度こそ食ってやろう。
 冗談はさておき、私を含め、もう二度と人間に釣られることがないことを願っている。それはこのシーバスに限らず、私が逃した全ての魚に対してもだ。
 最後にバイブレーションを試したが、流石にもう食ってくる魚はいなかった。そのうちルアーをロストでもすれば興醒めだ。もう帰ろうかと思ったが、先日、我が家のWi-Fiが故障した。Wi-Fi無しでは、窓から携帯を出さなければ、電波が入らない様なアパートだ。おまけに通信制限までかかっている始末。あと数日は、帰っても釣具をいじる以外することもない。それならいっそ、明日の朝までシーバスを狙おうと思ったが、釣り場を転々としても、やはりそう簡単に釣れる魚ではなかった。ずぶ濡れになりながらもやや上機嫌を保ったまま、私は日を跨ぐ前に、帰路に着いた。
 まさか日に2匹、そのどちらも、ルアーチェンジ1投目から釣れるとは思いもよらなかった。もちろん今日の条件が良かったのもあるが、同じ様な状況は過去にも何度もあった。それでも長らく釣ることができなかったのだ。やはり、少ない成功体験を元に、いかにしてシーバスを食いつかせるか、それが徐々に、感覚的に、本能的に理解してきているのだと思う。そう確信できる釣果を叩き出した日であった。

 シーバスの匂い。それは、私の幼少期の記憶を強く思い起こさせる。旅行先の海の桟橋で、朝から晩まで、父と並んで釣りをしていた時の記憶だ。
 当時釣った魚と言えば、親美姫(カタカナでは投稿出来ませんでした)、クエ、ダツなどで、シーバスは見たことすらなかった。それらの魚とシーバスの匂いが似ているのか、それ以来釣っていないので分からない。だが、シーバス以外の魚では、決して思い出すことがなかった匂いだ。シーバスに対する私の強い思いが、その匂いすらも、特別なものにしているのか。いや、きっとシーバスアングラーは、あの匂いに特別な感情を抱くのではないだろうか。
 シーバスを釣った後の車の匂い。その匂いに、不快感は微塵もない。それは確かに、私がシーバスを釣ったのだという、確固たる証拠になるからだ。

 

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釣果データ

釣れた日
2025年04月28日 20:50
魚種
シーバス
サイズ
40.0cm
重さ
匹数
1匹
都道府県
静岡県
エリア
三保
マップの中心は釣果のポイントを示すものではありません。
シーバスが釣れる近場の釣果

シーバス × 静岡県

シーバス × 三保

ルアー

DAIWA / リアルスピン

状況

天気
 13.0℃ 東南東 1.9m/s 1007hPa 
潮位
137.9cm
潮名
大潮
月齢
0.3
水温
水深
タナ(レンジ)

この日の釣行

日時
2025年04月28日 20:34〜20:50
20:34 釣行開始
三保で釣り開始
XBRAID
エックスブレイド スーパージグマン8本編み 1.5号/30lb
20:50 釣行終了

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