ターンオーバー、という言葉をご存知だろうか。
湖の釣りをしているとしばしば聞く単語だ。
水という液体は「4℃がいちばん重い」
ほとんどの物体は温度が下がるときゅっと密度が増してゆき、その結果重くなるが、水は何故か4℃を上限に密度が最大になる。
個体の氷が水に浮くのはそれが理由で、そのため水は極めてニュートラルな液体でありながら異常液体というジャンルに属するレア種だ。
水温と密度の関係がどう釣りに影響するかというと、これがターンオーバーと呼ばれる現象を引き起こす原因なのだ。
夏の炎天下で湖の水温は「表層から」温められてゆき、これと比較して温度の低い「重たい水」が湖底に沈んでいく、というフォーメーションをとる。
この、夏に湖底に沈んだ「そこそこ冷たくて重たい水」を、仮に10℃としておこう。
表層で急きょ温められた水は、湖底に沈む10℃の水との境にサーモクラインと呼ばれる層を生み出し、混ざることなく層構造を形成する。
今や懐かしい追い炊きした風呂の水が、表面だけ温まり、底は冷たいまま…という現象の超大規模版である。
冷たい水と温かい水の境に「ゆらゆら」と陽炎のようなものが出ているのを見たことがある人もいるかもしれないが、あれがサーモクラインだ。
さて、夏が終わって秋が始まると、気温は急激に下がっていく。
これに伴って湖の水は、やはり「表層から」水温が下げられていく。
湖底には夏場から「10℃の水」が沈んだままだ。
先日の芦ノ湖では、水温は波打ち際で17℃ほどだったが、すでに気温は日中で8℃前後まで下がっていた。
これに冷やされた水が、表層からどんどん水温を下げてゆくのだ。
するとどうなるか。
夏場に湖底に溜められた「そこそこ冷たい10℃の水」の水温を、「冷やされた上層の水温」が下回る瞬間が発生する。
先述のように、水は「4℃が最も重い」
湖面に氷が張るような湖ならば、表層の水温が4℃を下回るのは想像に難くない。
10℃の水よりも4℃の水の方が重いはずだが、ぴんと水平に張った水温という膜のせいで、まるで水と油のように「軽い水の上に重たい水が乗る」という極めて不安定な状態が生み出される。
この数奇なバランスが「何かのきっかけ」で壊れて膜を突き破り、静かに、それでいて爆発的にその層構造を崩壊させ、上下の水が入れ替わる現象をターンオーバーという。
混ざる暇もない急激な水温変化と、重いものが軽いものの上に載るという奇跡のバランスを実現する程度の水流的安寧、そして層構造を形成できる程度の水深があれば、これはどこでも起こり得る。
だがそもそも、そうそうお目にかかれる現象ではないのだ。
私も明らかにそれとわかるターンオーバーは数度しか見たことがない。
静かな湖畔で、なぜか沸騰したようにぽこぽこと水面が沸き立ち、泥色に濁った、というより泥そのものといった水中には枝だとか葉っぱだとか、あらゆるゴミが舞うようになる。
湖底に溜まっていた低酸素の水や汚泥などが撒き散る結果として魚の活性は著しく低下するが、そもそも「誰がどう見ても釣りにならない」というのが釣りにおけるターンオーバーであると個人的には思う。
多少の濁り程度なら、まだチャンスはあるのだ。
規模の問題なのかは分からないが、「この程度で」という状態をターンオーバーと呼びたがる人が存外に多いのも事実で、秋の釣れない言い訳の定番としてジムが揶揄していたのを思い出す。
小規模なものであれば多少の濁りで済むが、水深のあるエリアで起きた急激な気温低下が引き起こすターンオーバーは、まさに天変地異だ。
自然がもたらす、必然の奇跡に思いを馳せる。
釣果データ
マップの中心は釣果のポイントを示すものではありません。- ブラックバスが釣れる近場の釣果
タックル
状況
- 天気
- 12.0℃ 北北東 2.5m/s 1017hPa
- 水位
- 前日雨量
- 0.0mm
- 放水量
- 水温
- 水深
- タナ(レンジ)
この日の釣行
- 日時
- 2022年10月07日 12:31〜19:15
- 12:31 釣行開始
- 芦ノ湖で釣り開始
-
Megabass
メガバス グレートハンティング Kamloops Stinger 673 カムループス スティンガー 673 -
DAIWA
ダイワ 16セルテート 1003 - 19:15 釣行終了
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