みなさんこんにちは、t.onumaと申します。
オフショアゲームを本格的に始めてしまったのはここ3年ほどですので、まだまだ駆け出しです。そして「ゲーム」と言いましても、「これってもしかして罰ゲーム?」というくらいに釣りに苦しめられております。
これからオフショアゲームを始めてみたい方がそうした苦しみを味合わぬよう、初心者が気になるところについて、お伝えしていこうと思います。
今回はリールの選び方、について。といっても、「クランクベイトを使うならカルカッタコンクエストがいい。なぜなら。。」、という個別銘柄よりな視点ではなく、リールのスペックや構造、原理にフォーカスして解説します。
オフショアのみならず、ショアであっても、リールを使う釣りをする方には一読の価値があると思います。ぜひご覧になってみてください。
ステップ1.必要な機能を考える
まずは必要な機能を考えましょう。リールに求められる機能は
1-1.魚のいる場所までリグを届ける
1-2.ラインを巻き上げて魚をキャッチする
概ねこの二点に集約されると思います。ではそれぞれ見ていきます。
1-1魚のいる場所までリグを届ける
自分と魚までの距離が50mあるとしたら、どんなに少なくとも50mはラインがなければルアーをそこまで届けることはできません。当たり前過ぎな話ですね。
問題はルアーを届ける場所が、50m先あるいは100m先だとして、一体どれだけリールにラインがあればいいのか、です。
極端な例や特殊な例を除けば、魚のいる場所までの距離の二倍m程度巻いてあれば、糸を出し切った状態で手元で切れるといった天中殺級のトラブルがなければ釣りは成立すると思います。水深50mでジギングをやる、あるいはキャスティングで50m飛ばすのであれば最低でも100mは巻いておきたいところです。
PE1号を200m巻けリールであれば、100mが安全マージンを含めた釣りのレンジと考えてもいいと思います。
ただ、巨大魚を狙うような場合や、やたらと泳ぎ回るような魚を狙う場合は個別に考える必要があると思います。カツオとかマグロなんかを弱めのタックルで狙うのであれば、ルアーを届ける距離+200m程度は巻いておきたいところです。
1-2ラインを巻き上げて魚をキャッチする
次に、ルアーが魚のいる付近まで到着したら、何がしかの動きをつける必要があります。
ルアーであれば積極的に動かしますし、餌だとしても仕掛けの場所を小刻みに変えたりする必要性があります。
また、魚が針がかりしたら、これを引き上げて来なければなりません。あるいは場所移動する際にはルアーを回収します。
この時に問題になってくるのが、ギア比や巻き上げ力(≒トルク)です。
いろんな数字が並んでますね。今回はこれの解説です。
1-2-1ギア比
ギア比とは、ハンドル一回転で何回スプールが回るかの設定です。
上記画像の200番HGの「ギア比6.2」というのはハンドルを一回転させると、スプールが6.2回転する、という意味です。
よって、HGはPGに比べてハンドル一回転に付きスプールが回る回数が多い=最大巻上長が長い=巻き上げが速い、となります。
ただし、より正確に、リールの巻上げを理解するにはあと二つばかり要素が必要になります。スプールの糸巻き量とハンドルの長さです。
ギア比が高ければ早く巻けるからOK、というシンプルな話でもありません
1-2-2糸巻き量と巻き上げ長の関係
巻き上げ長ですが、上記200HGでは巻き上げ長は78cmとなっています。そしてPE2号が200m巻けることになっています。
つまり、ラインが満タンになっている状態で、ハンドルが一回転すると78cm巻ける、というのが正しい理解です。また、満タンの状態でのスプール外周は12.58cmです。
ですので、200HGの巻き上げ長78cm=スプール外周(12.58cm)xスプール回転数(6.2回)、という計算になります。
ここでのポイントはラインが満タンの状態であること、です。なぜか?それはラインの残量によって糸巻き長が変わるためです。
ラインの巻き上げ長を決める計算式は上記にあげましたが、スプールの軸が細くなり、外周が短くなれば当然に巻き上げ長は短くなります。
こういうことです。
ラインが多く出ている状態であれば、ハンドルを一回転させても巻き上げることができる長さは短くなります。
この場合、自分に近いところにルアーがある時よりも速く巻かないと多く糸を巻き取れない状態にあります。
1-2-3ハンドル長
回収巻きにしろ、ファイト中にしろ、軽い力で巻き上げることができたらそれに越したことはないと思います。
巻き上げ感の軽重を決めるのがハンドル長となります。ハンドル一回転でどうラインを巻けるか、つまりどの程度力をかけなければいけないかを決める要素になります。
上記オシアコンクエストの場合、HGのハンドルは60mm、PGは48mmとなっています。これはハンドル中心から先端までの距離です。
ここで思い出していただきたいのがてこの原理です。
こういうやつ。
支点と力点の距離が長いほど、力点に加える力は少なく作用点を動かせることとなります。作用点がリール本体、支点がハンドル中心のネジ、力点がハンドルノブと考えれば、ロングハンドルは軽い力で回せる、ということになります。
HGの方がハンドル長があり、巻き上げる力が少なくてすみます。
「巻きが重い軽いはハイギアかローギアが決めるのでは?」と思われた方、ちょっとわけがわからなくなってますよね、きっとw
回転数を決めるのはギア比ですが、トルクを決めるのは仕事量ですので、ハンドルの長短となります。わかりやすく理解するには変速機付きの自転車を思い浮かべるといいと思います。
自転車って、ローギアは踏み感が軽く、ハイギアは踏み感が重いですよね。それはリールも同様です。
一方、自転車はペダルのギアクランク(赤い部分)の長さは一定でギア比を変えます。ゆえにハイギアの方が重く感じます。逆に一定のギア比でギアクランクの長さを変えることができれば踏んだ感じも変わります。逆にわかりづらくなったでしょうか。。。w
上記、HGリールのハンドルが長いのはハンドルを回す力をローギアに比べて軽減させるため、です。
ラインを含めたスプールの径が大きく、ギア比が高いほうが、同モデルであれば一巻きでの巻上げ長さは長くなります。
そしてハンドルが長い方が軽い力で巻くことが出来ます。
仮に3kgの魚をオシアコンクエストのHGとPGで巻き上げると仮定しましょう。それに必要な力は、「仕事の原理」で説明できます。
仕事量は最大巻上長x重さで計算できます。すると
HG=(巻上長x魚の重さ)÷ハンドル一周=(78x3)÷37.68=6.2kg
PG=(巻上長x魚の重さ)÷ハンドル一周=(60x3)÷30.14=5.9kg
このようになります。PGの方が幾分軽い力で持ち上げることが可能になります。
ステップ1.のまとめ
・糸は必要な量の2-3倍巻いておく
・早く巻きたいならハイギア、ゆっくり巻きたいならローギア
・軽く巻きたいならロングハンドル、逆ならショートハンドル
・ラインが出た状態では巻き上げ長は変わるので留意する
で、問題は、それはわかったとしてどうすれば?という話ですよね。理解しております。
が、まずはリールの基本を押さえた上で考えて行く方がわかりやすいと思いますのでもう少しお付き合いください。
そして、魚をキャッチするために、という観点からは、魚をバラすことなく巻き上げることが出来る機能、適切な力を使い破綻することなく釣り上げることが出来るリールを選ぶことが必要です。
それを左右するファクターについて以下、解説していきます。
ステップ2.追加ファクターについて考える
ここでは、ルアーのアクション、釣りやすさ、ドラグについて解説します。
2-1.ルアーのアクション
ルアーによっては、ありえない速さでの操作が奏功したり、逆にほぼ動かない方がいい場合もあったりします。
例えばシイラであれば、ルアーを超高速移動させた方が成果が出やすいと思います。そうなるとリールというかタックルに求められるのは細糸(スプール径が減りにくい)、高ギア比、ロングハンドル、だと思います。
一方、アカムツのようにほぼルアーを動かさないのが望ましい釣りであれば、スプール径がゼロに近い状態、低ギア比、ショートハンドル、だと思います。
が、これをそのまま突き詰めるとラインが切れるとか、ルアーを回収あるいは魚を巻き上げるのに半日かかるとか、どこかで破綻をきたすわけです。
そうならぬようにバランスされているのが市販リールで、その中からどれを選ぶのかがリール選定の要諦となります。
ていうか、そんな極端に変なリールは売ってませんしねw
出自:https://gear-lab.com/i/accurate-bv
ギア比を変更できるリールもあるにはあります。
ルアーのアクションという観点から見ると、早く動かしたい=巻き上げ長が長い≒ハイギア、ゆっくり移動距離を少なく動かしたい=巻き上げ長が短い≒ローギア・パワーギアという選択肢も検討する必要が出てきます。
2-2釣りやすさ
次に、かけた魚が思いの外大きかったり、あるいは大きさに加え、コンディションがよくてとてもすごく引くような場合を考えます。
具体的には30kg程度のキハダマグロとしましょうか。
この場合、リールには巻上長や巻上力のみならず、強度や効率性も求められてくると思います。
こうした場合、ありあえない力がリールにはかかっております。その環境下で釣り人が入力した力をスムースに巻き上げにつなげる強靭さが必要だと思います。
リールの強度は、構造、フレームなどボディを構成するパーツの強さで決まると思います。
一般的に樹脂よりは金属が、ビスによる接続よりはスポット溶接であったりモノコックの方が強さが出ます。
強靭さに加え、指標はおそらくなくて、誰も把握していないと思うのですが、100の力を入力して、どれだけの力を出力できるのか、という点も重要になると思います。
入力のパワーロスがどれだけ少ないか、機械効率の問題ですね。
この二つ観点から製品を見てみましょう。シマノのソルトウォーターモデル、ステラ'20SW4000XG、'21ツインパワーSW4000XG、'19スフェロス4000XGを比べてみます。
ハイエンド2機種と廉価版ではだいぶ違います。価格はもちろんのこと、重さ・部品数がずいぶん違いますね。構造と素材などのパーツ内容の違いの影響かと思います。
そして、これがわかった段階で、次に気になるのが、「どのくらいの釣りであれば」「どのくらいの道具が必要なのか」の二点。こればかりは個別の事象を積み重ねて判断するしかないのかもしれません。が、しかし、モデルケースが少なすぎのですよね。。。何度も釣りをし、自身や信頼できる仲間と経験値を重ねて知見を蓄積していくしかないのでしょうね。
釣りやすさの観点から行くと、途中で本体が歪んだりすることなく安定して巻けるリール、という要素も勘案する必要があります。一方、強靭さを求めると重量が増加するので、用途に応じた選択が必要です。
ドラグ
狙う魚は選ぶことはある程度できますが、かける魚の大きさを選ぶことは難しいです。
その時点で使っているタックルの限界を超えている魚がかかる場合もあります。また、タックルの強さとしては適正なものの、フッキングさせるのに時間をかけなければいけない場合もあると思います。
こうした場合に必要になるのがドラグです。
例えば、タックルの限界を超えた魚、ですが、仮に5号のPEを使っていたとします。
おおよそ70-80lb程度の強度のものが多いと思いますが、kg換算すると31.7-36.2kgとなります。
この強さを超える魚がかかってしまったような場合、ロッドのしなりとラインの伸びでは吸収できない魚の力を逃がすために、ラインを滑り出させ破断することを避ける安全装置としてドラグが必要になります。
もう一つ、フッキングに時間が必要なケースですが、タイラバが好例かと思います。無理にフッキングせず、じわじわとフックを貫通させるような場合です。これは数値化が難しいのですが、魚がルアーを吐き出さない、あるいはフッキングしてからは外れない適度なテンションをかけ続ける必要がある場合です。こちらも適度にラインを滑り出させる必要があります。
出自:https://fish.shimano.com/ja-JP/product/reel/hanyouspinning/a071000000jtaeraa0_m.html#Specifications
これを見ると、実用ドラグ力と最大ドラグ力と二つ要素があります。実用ドラグ力というのは「自身でコントロール出来るドラグ力の値」という理解がよさそうです。というのは、ラインの残量によって巻き上げ長が変わるのと同様、ドラグ力も変わるためです。この詳細は別の機会で説明してみたいと思います。
もしもの場合や、ドラグをフル活用した釣り方を要求される場合、トラブルなくドラグが機能する(=滑り出す)ことが必要になります。
おわりに
終盤に行くにしたがって、数値化できる要素が激減しなんとも後味が悪いというか、残尿感の残る展開になりましたねw
あらためてリール選択のポイントを列挙します。
・糸巻き量→どのくらいの太さの糸をどのくらい巻けるか
・糸巻き長さとハンドル長さ→リーリングスピードとかける力
・強靭さ→力の強い魚であれば重視する。一方、ライトゲームでは感度や軽さを重視
・ドラグ性能→釣り方によって不要な場合もあるものの、極細ラインを使うような場合は重要
なので、長々書きましたが、結論としてはターゲットに応じて使い分ける、でしょうか。
どんなルアーを使うか、どのくらいの大きさの魚を釣るか、それはどういう魚か、よく引く魚なのか重たい魚なのか、で選択肢は変わります。
ただ、あくまでも「釣りやすさ」ですので、それでなければ釣れないことはないと思います。
今回、解説した内容には、曖昧な部分も含まれております。突き詰めて考えると、既製品ではカバーできていない性能や機能が必要になる場合もあると思います。
これらを自分なりに解釈し、道具を選び実践に活かすことができれば、上達するきっかけの一つになると思います。
特にリールに関しては巻くラインを変えたり、ハンドル長を変えたり、ノブの素材を変えたりで釣り味は随分変わると思います。
今回のテキストをご覧になった方が、ご自身のタックルの持っている能力を再認識し、それらをフルに引き出す手法を考えるきっかけになれば幸いです。
t.onumaと申します。
オフショアゲームを本格的に始めてしまったのはここ3年ほどですので、まだまだ駆け出しです。
オフショアを始めてみたい方のために、初心者が気になるところをお伝えしていこうと思います。