ども、てるぴんです。
今回は第3部の「結、締編」をご覧いただければと思います。
前回のテンションだと「このままバッドエンドで終わるのでは。。。」と勘ぐられるのも無理はありませんね(汗
けど、安心してください自然の懐はそんな狭くはありませんよ。
ちゃんと時間をかければ求める結果は返ってきます。そんなハッピーなお話を楽しんでもらえたら嬉しい限りです。
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長い長い、ながーい話の終わり
「次が最後かな。」
そう決意して臨んだ、先日入れなかった港。
前回からまた月日は経ち、太陽はいくら傾いても暑さが和らぐことなく、ヒグラシが元気に鳴きじゃくる季節になっていました。
その日は少し早めに到着したものの、多くの人があいも変わらず岸際に並んでいました。今回はなんとか入れるところを見つけましたが、その間にも車を引き返す人も多く見えました。
両隣の人に挨拶した時にまだ釣れていないと教えてもらったため、ゆっくり準備にとりかかりました。
「早く釣れないかな。」
これだけ人気なんだから竿を出せば釣れるでしょ、という期待感とは裏腹に、私が準備する間も、釣りを始めても、電灯に明かりが灯りはじめても願いが叶うことはなく、どこにも魚を見ることが出来ませんでした。
日が落ちてから岸べりはだいぶすっきりし、暗くなった海の上には電気ウキの光がぽつぽつと浮かぶだけになりました。
人がはけて風通しが良くなったのか、暗くなるにつれて南西から生暖かい風が少しずつ吹いてきました。
「風が強くなってきたな。たしか風が吹く方向に餌も動くから」
前回の釣行で耐性ができたようで、3時間程度何もなくてもまだ諦めません。最後と決めてきたこともあり、今まで得たなけなしの知識を総動員してことにあたります。
向かい風に対して投げ、表層で誘いをかけ、反応が無ければ段々と深いところを探ります。
その日釣れていなかったことから、アジがいる層が薄いことを念頭に入れて、カウントを浅いところから1秒単位で刻んで誘っていきます。足元で沈めたときは底につくまで15秒、投げ入れたところが多少深くなっていると考えて20秒を見積もりました。
「釣れない、・・・釣れない、・・・釣れない。・・・この深さもダメ。」
だんだん探る層が深くなります。10秒の深さを探っているときから焦りが出始め、15秒のところを過ぎるともう諦めが勝っていました。
誘いも最初に比べて大きく適当になります。
「底についたか。」
フォールで出ていく糸が20数えない内に止まりました。ここを探ってダメなら他を探すしかありませんが、釣れないことに加えて、よく知らない場所で心細く、精神的にだいぶ削られていたようです。
辺りは電灯が立っている場所以外真っ暗になっていました。
「帰るか。。もうだめだ。。。本当向いてn・・・んおっ!」
誘った手を止めて鬱々としていると竿が持っていかれる感覚で我に返りました。アタリはとても大きかったのにあまり引きません。
「なんだろう、また癒やしの君かな。」
仕掛けを投げ入れたところのほぼ底でアタったので、なかなか魚が上がってきません。万が一を考えてやり取りを続けますが、頭の中で期待と不安がせめぎ合っています。
かれこれ1、2分ほど格闘を続けると、ようやく獲物が姿を見せました。
「あっ・・・、あ・・・。」
●ずっと持って歩いてたネットがやっと役に立ちました○
そこには全身銀色の魚体に、ピンと張ったヒレ。まぎれもないアジが、網の中に収まっていました。
「やった。。。やっと釣れた。」
言葉はどう振り絞ってもこれしか出てきませんでしたが、頭の中は強烈な汁で満ち満ちていたのをよく覚えています。
気が逸って写真に十分頭が回らず、アジの顔がちょっと隠れたものしかないのには言い訳のしようもございません。
こんな小さい一匹が、大の大人をはしゃがせてくれます。
サイズは極小ですが、誰がどう言おうとこれは私がずっとワームで釣りたかったアジでした。そんな大喜びの最中、とある思考に頭が釘付けになります。
「もう一匹。」
アジは群れで行動するから釣れた場所にまだ魚がいるハズ、かろうじてそう思い当たり、先ほど釣った場所にワームを投げ入れて底まで沈めて誘いをかけます。
今度は丁寧に誘って底付近を這わすように引いてきます。
「いたいた!」
モゾ、という小さなアタリを拾って2匹目を追加。気分はもう最高でした。どんなに簡単な仮説でも思った通りの結果が返ってきて嬉しかったです。
●まさに銀色に輝くアジ・・・写真ニガテです(涙)○
しかしそれからは同じようにやれども場所を変えともウンともスンとも言わずに、日付が変わったところで帰ることにしました。
そんな流れで釣れたのは2匹だけでしたが、苦しい経験を乗り越えて本命を掴むことができた、とても、とても思い出深い釣行です。
やれども釣れども、楽しさは底を知らず
なんとかハッピーエンドでアジング初のアジを拝むことが出来ました。
ここまで読んでいただいた方は苦労を重ねて獲った一匹のくだりに部分的にでも共感してもらえるところがあったのではないかと思います。
ではこの先に私がどうなってしまったかは言わずもがなでしょう。
苦労した後に一度釣れると、もっと釣りたいと思うようになります。けれどもすぐに思ったように釣れることはなかなかありません。
逆に理由も分からず釣れることも出てきます。わけがわからない。とりあえず釣りの時間や道具への投資はかさんでいくばかり・・・。これが俗に言う
「沼」
というものですね。
残念ながらここに足を踏み入れてしまうと、運良く底に足が届くか助けが来ない限り、飲み込まれるのを待つばかりです。
私のはまった沼にはまだ足裏に触れる感触も引き上げてくれる人もありません。おそらくこのままでしょう。自然って怖いですね。手も足もさして役に立ちません。
それなのに、思い通りになることなんてほぼないのに、どうしてこう楽しいんでしょ。
その楽しさに身を任せて、頭は自然と回り、どんな情報や経験も大切にしました。
すると少し、自由がきくようになりました。沼の抵抗に逆らわずに、身体が本来持つ浮力を生かして自分が居たいところに少しずつ身体を保つ術を身につけました。
そのおかげで、沼のことを見渡す余力ができました。ここは広大にして深遠を極め、およそ全て見通すことは敵いませんが、見える範囲にある気になるところを、時間をかけて見に行く方法は分かるようになってきました。
ジタバタして行き着いた先には想像もしなかった物事も多く、新しい発見があるごとにまた試したいことが増えてきます。それらをあれやこれやと試行錯誤する。
そう、これが楽しいんですね。
自ら思ったことや考えたことを興味津津に実験・検証して今まで知らなかった答えを導いていく過程を繰り返す…釣りとは意外にも知的好奇心をくすぐる遊びだったわけです。
私はこれまで長く釣りを続けてきましたが、このこと、「釣りとは知的好奇心をくすぐる遊びである」、ということはアジングから初めて学びました。
これからもこの楽しみに浸りつつ、もっと視野を広げていきたいと思っています。
今回はアジングに憧れたペーペーが犯した数々の過ちが中心の記事になりましたが、今後はアジングについてあれこれ考えたことや体験したことを中心にお伝えしていければと思っています。
その内容が沼にハマってなかなか身動きが取れない方の一助になれば幸いです。沼を楽しみ尽くせるようになるために、一緒に頑張りましょう。
さて長い話も終わったことですし、そろそろ魚に会いに行きますか。
●次回は今回とは打って変わってのイージーアジングです!○