ロッドやリールは、エントリーモデルやハイエンドモデルなどメーカーがランクを設けていることが多い。
その差は明確で、金額にも大きな差がある。
エントリーモデルは比較的値段が安く設定されており、ハイエンドモデルはそれに比べると高いものが多い。
では【ハイエンドモデル=高いもの=良いもの】なのだろうか、また【エントリーモデル=安いもの=悪いもの】なのだろうか。
とある釣具屋で聞いた話
先日仲の良いプロショップに行った時、店員さんからこんな話を聞いた。
その話をまとめると
- エバーグリーンの初代コンバットスティック(90年製)を今も使っている人がいる。
- 毎年1回、ガイドを全部外しすべて付け替えている。
- コンバットスティック全部が良いわけでなく、持っているそのブランクスが最高とのこと。
- 他のロッドでも気に入ったブランクスがあれば、毎年ガイドを付け替えて使っている。
- 折れるまでは使う。ただし、折れたことは今まで不注意で1回しかない。
- その人はブランクス(ガイドやグリップがない状態)だけで500本近く所有している。
話を聞いた時に、『やべえ』と思ったが、それと同時に『すげえ』と思った。
自分にとっての『ものの価値』がしっかりわかっている人なんだなと思った。
そもそも、買うロッドによるが全ガイド付け替えるとロッドが1本買えるぐらいの金額になる。
今は新品で買うことが難しい初代コンバットスティックは、中古だと5,000円ほどで出回っている。
値段だけ考えたら、絶対に買ったほうが安いと思う。
しかしその人はもう10年近く、そのコンバットスティックのガイド交換を行っているそう。
リールよりロッドの方がわかりにくい
あくまでも僕の考えだが、ロッドの性能差はリールほどわかりやすくない。
リールはベアリングの数などで値段が大きく違うし、かといってベアリングがないとリールが使えないかと言えばそうではない。
べアリングが最低限の2つや3つとかでもしっかりと使えるものが存在する。
だがハイエンド機には12個ぐらいのベアリングが入っていて、そのおかげでストレスなく使用することができる。
その性能差は使っていて実感できる、ライントラブルなども圧倒的にハイエンド機の方が少ない。
ではロッドはどうかというと、ハイエンドもエントリーもロッドで必要なパーツ数はほぼ同じである。
ガイドの数が3つとかそんなのものがあるかといえばそんなものはなく、大手メーカーのエントリーモデルでガイド数は8個や9個とかあり、ハイエンドと大して変わらない。
そしてその使用感もエントリーモデルが極端に劣っていることはないと思う。
もちろん、ハイエンドとエントリーでガイドの差はある。
Sicではなくアルコナイトのリングを使っていたりする。
また、エントリーでトルザイトのリングを使っているロッドはほぼないと思う。
ただ、僕にはその性能差がそこまでわからない。
わからないというかあまり気にならない。
アルコナイトだから当たりがわからなかったとかないと思うし、そもそもアルコナイトでわからなかったらSicでもわからなかっただろう。
主観ではあるが、ハイエンドのロッドとエントリーのロッドを比べたときにハイエンドのリールとエントリーのリールを比べたときほどの差は感じない。
カーディナルというリール
リールでこんな話もある。
僕は渓流もやるのだが、渓流のルアーマンはABUのカーディナルというリールを使っている人が多い。
そのリールは初めての人には、お世辞にも使いやすいものとは言えない。
特に今のリールに慣れている人にとってはそれは感じやすいと思う。
また、新品の状態ではほぼ使えない。
調整して始めて使い物になるレベルである。
しかもカーディナルは復刻の3シリーズで30,000円程度するし、また然るべき場所で調整してもらうと+20,000円ほどかかる。
復刻前の3や33もしくは他の人気のシリーズは、オークションでそれ以上の金額を出さないと手に入らない。
つまり、カーディナルは使い物になるまでに50,000円かかる。
50,000円あったらシマノならヴァンキッシュ、ダイワならセルテートが買えてしまう。
リールの性能面を客観的に考えてカーディナルの方が性能がいいという人は少ないだろう。
そのぐらい、性能差はあると思う。
では、なぜわざわざ性能が良くないリールを高い金出して買うのか。
それは物の価値の捉え方だと思う。
カーディナルを使用している人は比較的渓流の熟練者が多く、下の画像のようにタックルを入れて撮影することが多い。
そのときの映え方を考えている。
カーディナルは他のリールに比べ、写真映えが良い。
また、このタックルで釣りたいと思っている。
僕は釣りにおける趣向はそれでいいと思う。
そもそもドラグをそこまで使わない釣りなので、リールの性能差が釣果に影響を与えにくい。
結果、必要最低限の機能があれば充分なのだ。
渓流をやる人全員がそうではないが多くの渓流ルアーマンは、『ものの価値』は写真の出来やそのタックルで釣りたいと思うところに置いている。
性能が悪くて少し値段が高くても、そのためにカーディナルを選ぶのだ。
と僕は思っている。
『ものの価値』は
すべてのものに価値がある。
その価値の一番わかりやすい指標は値段である。
10,000円のものより20,000円のものの方が価値が高い。
そう当たり前の話。だが、その価値は本当に同じかどうかを考えてみてほしい。
『ものの価値』が世間の価値観に照らされて本当に正しい評価になっているだろうか。
本当に良いものが不当な評価を受けていないだろうか。
世間がどんな評価をしていようが関係なく、誰かがそのタックルについて悪いことを言っていようが関係なく、しっかりと自分の中で『ものの価値』の判断をできるようになっているだろうか。
特に今の時代は、ヤフーオークションやメルカリで世間一般の価値感が簡単に手に入る。
だからこそ、世間の価値に流されず自分の価値でものを判断したいと思った。
自分の好きなものを使おう
今回の話で言いたかったのは、ハイエンドだから良いとかエントリーだから悪いとかでないと言うこと。
また世間の評価を自分の価値観にするのではなく、自分にとっての良いもの悪いものをしっかり見極められる人になりたいと思ったこと。
その結果が金額に比例していたとしたら、全く問題ない。
特にロッドは客観的な判断がリールよりわかりにくく、良いという定義が人によって違う。
だからこそ、自分の好きなロッドを使えばいいと思う。
自分だけの価値観を持てばいいと思う。
それがエントリーだって良いと思うし、かなり古いロッドでも良いと思う。
そして、自分の中で価値の高いタックルや気に入ったタックルをたくさん見つけ、たくさん使いたい。
使えば使うほど、自分がタックルに合わせにいく。
そんな経験や思い出を共有したタックルを増やしていきたいし、そんなタックルに出逢いたい。
今回プロショップで聞いた話は、はじめはあり得ないと思ったけど考えてみたらすごい素敵な人だなと思った話でした。
そしていつもより口調が違う文をかいた結果、なんか自分らしくなくめっちゃ書くのに時間がかかりました(;・∀・)